食で健康
2018.07.27

おやつに最適!ドライフルーツヨーグルト

~「発酵食品」と「食物繊維」で腸内環境を整える~
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肉類が中心の食事に偏ったり、多忙で不規則な生活が続いたりしていませんか? これらはいずれも腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を悪化させる一因になります。健康を保つために、善玉菌を増やす食事を心掛けたいものです。忙しい人でも簡単に善玉菌を増やすことができるおやつを、管理栄養士でフードプランナーの岸村康代さんに伺いました。

健康を保つうえでは
腸内細菌のバランスが大切

最近、健康情報メディアで取り上げられることが増えた「腸内フローラ」。腸内フローラとは、私たちの大腸に生息する100種類以上、100兆個におよぶ腸内細菌叢ちょうないさいきんそうのことを言います。

腸内細菌の種類には、善玉菌と悪玉菌、そしてそのほかたくさんの種類の菌があり、それらのバランスを保つことが重要と言われています。

善玉菌を増やすのに効果的な
2大食品がこれ!

中でも腸内の善玉菌の割合を増やすためには、2つのポイントがあります。

  • ポイント1
    ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌を含む発酵食品を摂る。
  • ポイント2
    善玉菌が棲みやすい環境をつくる食物繊維を摂る。

ポイント1のビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌を含む発酵食品の代表がヨーグルトです。コンビニエンスストアなどで身近に購入でき、手軽に食べることができるので、忙しい人にも最適と言えます。

また、2018年3月に発表された最新の研究結果では、白米を食べる前に無糖のプレーンヨーグルト200gを食べると、食後血糖値の上昇が抑制されるということも報告されています。

■ヨーグルト・ファーストによる食後血糖値の低下 出典:Yagi M, et al, Glycative Stress Res; 5(1):68-74,2018

ポイント2の腸内で発酵することにより、善玉菌が棲みやすい環境をつくる食物繊維を含む食品は、野菜類や果実類、豆類、藻類など、さまざまな種類があります。毎日の食事にバランスよく取り入れるのが理想的ですが、肉類など動物性食品を中心とする欧米型の食生活では不足しがちな傾向にあります。

厚生労働省策定の日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日当たりの食物繊維の摂取目標量は18~69歳の男性で20g以上、女性は18g以上と設定されています。

ところが、国民・健康栄養調査(2016年)による1日当たりの平均摂取量は、男性は14.5g、女性は13.9gと、いずれも目標量に達していません。男性は5.5g、女性は4.1gほど不足しているのです。

そこで、この不足分を補う食品の一つとしてお薦めしたいのがドライフルーツです。

果実類を乾燥させ、水分を抜いたドライフルーツには、食物繊維がぎゅっと濃縮されています。野菜類や果実類を生のままで一度にたくさん食べるのはなかなか難しいものですが、ドライフルーツなら少量で効率よく食物繊維を摂取することが可能です。

下のランキングでも分かるように、特にブルーベリーや干し柿、なつめ、イチジクなどには食物繊維が豊富に含まれています。

■ドライフルーツ食物繊維含有量ランキング 出典:日本食品標準成分表2015版(七訂)
※USDA National Nutrient Database for Standard Reference Release28による

善玉菌を含むヨーグルトと、食物繊維たっぷりのドライフルーツを組み合わせたドライフルーツヨーグルトなら、上に挙げたポイント1と2の両方を同時に実現することができます。相乗効果によって善玉菌が増え、腸内環境が整いやすい状態になります。

お菓子の代わりに
ドライフルーツヨーグルトがお薦め

ドライフルーツは全般的に糖分が多いため、過剰に摂り過ぎると肥満や生活習慣病などの一因になる可能性もあります。

とはいえ、砂糖や油などをたっぷり使ったお菓子などとは違い、食物繊維をはじめミネラルやビタミンB群などの栄養が含まれているのは、ドライフルーツならではの長所です。ただし、水溶性で熱や光に弱いビタミンCは、乾燥させることで失われるため、生の果実類で摂取する方が効果があります。

お菓子を食べる習慣がある人はその代わりとして、ドライフルーツヨーグルトをおやつとして適量取り入れると良いでしょう。無糖のプレーンヨーグルトに混ぜ合わせると適度な甘みが加わり、ヨーグルトの酸味が苦手な人でも食べやすくなります。

一日のおやつのカロリーの目安を100Kcalとした場合、十分な食物繊維が摂れるドライフルーツの量は35~40g程度が一つの目安となります。種類別の量の目安は下記のとおりです。

  • 干しブドウ(大さじ3杯程度)
  • 干しプルーン(5個程度)
  • 干しバナナ(15枚程度)
  • 干しアンズ(4~5個程度)
  • 干しイチジク(大2~3個程度)

簡単アレンジも取り入れながら
毎日続けて摂取しよう

細かく刻んだドライフルーツをそのままヨーグルトに混ぜるなど、シンプルな方法で十分おいしく味わうことができますが、次のような簡単なアレンジも、ぜひ楽しんでみてください。

  • ドライフルーツの一夜漬け
    マンゴーなどのドライフルーツをヨーグルトに漬けて一晩置いておくと、翌朝にはドライフルーツがヨーグルトの水分を吸って、もっちりした食感に変わります。一方、ヨーグルトはいわゆる「水切りヨーグルト」と同じ状態になり、チーズのような濃厚な味わいが楽しめます。
  • ドライフルーツヨーグルトスムージー
    プルーンなどのドライフルーツを混ぜたヨーグルトをミキサーにかけるだけでできあがります。ドライフルーツはヨーグルトに漬けて戻したものを使ってもおいしく仕上がります。

腸内環境を整えるために大切なのは、毎日継続して摂取することです。自分の好みに合わせていろいろ工夫しながら続けていきましょう。免疫力がアップし体調も良くなることが期待できます。

岸村 康代 フードプランナー 管理栄養士/野菜ソムリエ上級プロ
一般社団法人大人のダイエット研究所 代表理事

大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業後、商品開発、病院での指導などを経て、独立。日本野菜ソムリエ協会ビューティーフードプログラムの監修を務める。メタボ指導の現場で数々の健康的なダイエットのサポートをしてきた経験や、野菜ソムリエ上級プロなどの資格を生かし、講師や執筆、メディア出演など多方面で活躍中。目的別の効率よく栄養を摂る“パワーフードスタイル”を提唱し、商品開発やツール制作なども手がけている。大人のダイエット研究所では、忙しい大人のための健康的な食の推進をしている。『いつもの料理にかけるだけ おからパウダーダイエット』(セブン&アイ出版)、『10日間でやせ体質に生まれ変わる野菜レシピ』(アスコム)など著書多数。

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