健康マメ知識
2021.09.10

あなたの頭皮、ガチガチになっていませんか?

~コリをほぐして、ストレスや疲れ、肩こり、頭痛をスッキリ解消!~
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仕事などで日常的に目を酷使したり、ストレスなどにより歯を食いしばる癖があったりすると、知らず知らずのうちに頭皮が凝ってガチガチに硬くなっていることがあります。頭皮のコリはあまり意識したことがないという人が多いかもしれませんが、頭皮のコリをほぐすと、肩こりの緩和や頭痛予防、快眠などさまざまな効果が期待できます。コリの要因や、いつでも簡単に行うことができる頭皮マッサージの方法について、あきカイロプラクティック治療室の檜垣暁子副院長に伺いました。

自分の頭皮のコリを
確認してみよう

まず、自分の頭皮のコリをチェックしてみましょう。
爪を立てず、指の腹を少しずつずらしながら頭皮全体を触り、硬さや痛みの有無などを確認していきます。

触れたときに他の場所よりも硬く感じるところ、あるいは軽く押したときに痛みを感じるところなどは頭皮のコリが生じているサインです。

なお、頭皮の硬さには個人差があり、全体的に柔らかくても部分的に硬く凝っているところがあるなど、その状態もさまざまです。体調の良いときに頭皮の硬さを確認しておくと、コリが生じたときにセルフチェックがしやすくなるのでおすすめです。

下記の項目も頭皮が凝っているかどうかの目安になるので、定期的に確認すると良いでしょう。

  • 目が疲れやすくスッキリしない
  • 顎関節のあたりに違和感がある
  • 顔の筋肉がこわばっている感じがする
  • 頭皮を押したときに気になる部分がある
  • 十分に睡眠をとっても疲れがとれない

頭皮のコリの主な原因は
頭の筋肉や腱膜(けんまく)の過緊張

肩や首、背中などのコリは気になるけれど、頭皮のコリはあまり自覚したことがなかった、という人も多いかもしれません。

体の筋肉の多くは関節を動かすことなどで血流が促され、コリの要因となる筋肉の緊張を和らげることができます。一方、関節のない頭部の筋肉は自力で積極的に動かすことが難しいため、皮下にある頭部の筋肉や腱膜に硬さが生じやすくなります。このため、頭皮のコリは、肩こりなどと比べて改善されにくい傾向にあります。

■頭部の筋肉の構造 頭部の筋肉の構造
頭皮のコリの要因①
前頭筋(ぜんとうきん)帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)後頭筋(こうとうきん)の過緊張

頭部の前方にある「前頭筋(ぜんとうきん)」は、頭頂部へ続く「帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)」とつながり、さらに後頭部の「後頭筋(こうとうきん)」へとつながっています。

悪い姿勢で長時間のデスクワークなどを続けると、肩や背中の筋肉が凝り固まったり、ストレスなどによって自律神経の交感神経が優位になると、筋肉が過度な緊張を起こしたりし、頭部の筋肉や腱膜も影響を受けやすくなります。

また、目を酷使したり、度数が合わないメガネを使用していたりすると、目を細めて物を見ようとする傾向が強くなります。これにより、目を閉じる働きを持つ目のまわりの筋肉「眼輪筋(がんりんきん)」が疲労を起こし、その影響で前頭筋にコリが生じる場合もあります。

最初に硬さが生じるのは前頭筋など一部であっても、頭部の筋肉は全てつながっているため、帽状腱膜や後頭筋など別の部分にまで影響が及ぶようになります。このため、頭部の表面にある頭皮にもコリや硬さが生じることになります。主に後頭部や頭の両側、首筋などにかけて頭が締め付けられるような痛みが生じる「緊張型頭痛」の一因になる場合もあります。

頭皮のコリの要因②
側頭筋の過緊張

頭部の側面にある「側頭筋(そくとうきん)」は、顎関節(がくかんせつ)の動きに関係しています。強いストレスを抱えていたりすると、就寝中に歯ぎしりや食いしばりをしたり、起きているときでも無意識のうちに歯をぎゅっと噛みしめたりしていることが多くなります。その結果、顎関節への負荷が大きくなるため、側頭筋の緊張も強くなり、コリが生じやすくなります。

歯に痛みがある、歯の詰め物が合わない、食事のときに口の片側だけで咀嚼(そしゃく)する癖がある、といった場合も側頭筋が凝りやすく、またコリの左右差も出やすくなるので注意が必要です。

やさしくコリをほぐす
3つの頭皮マッサージ

先に述べたとおり、頭部の筋肉や腱膜を自力で動かすことは難しいですが、やさしくマッサージすることで頭皮のコリや硬さをほぐすことができます。次の注意点を踏まえ、頭皮のコリの状態に応じたマッサージを行いましょう。

■注意点
  • 爪を立てて行うと皮膚を傷める原因となるため、指の腹を頭皮に当てて行いましょう。
  • 痛みを感じるほどの強さで行うと、筋肉が過緊張状態になり、逆効果になる可能性があります。心地良く感じる程度に圧をかけることが大切です。
  • 長時間続けて行ったり、回数が多すぎたりすると体調不良を起こす場合があるので気を付けましょう。
  • マッサージの途中で気分が悪くなった場合は、すぐに中止してください。
■頭皮マッサージの共通ポイント
  • 頭の表面をこするのではなく、指を当てた地肌や皮下組織、筋肉も一緒に動かすことをイメージしながら、やさしく動かしましょう。
  • マッサージのために時間を作ろうと思わずに、仕事の休憩や入浴時など、合間やついでにマッサージを行う習慣をつけるのが長続きさせるコツです。
マッサージ1:頭皮のコリを予防する

頭皮のコリを予防するために、毎日行いたいマッサージです。指の腹を頭皮に当てることで状態が分かりやすく、「数日前は押しても痛みがなかったのに、今日は頭皮の硬さと痛みを感じる」など自覚しやすくなります。

「長時間パソコン作業をした後」「イヤな出来事があった翌日」など、どのようなときに頭のコリを感じるか把握しておくと原因が分かり、より予防につなげやすくなります。

■正しい頭皮のマッサージ方法
  • 1.頭頂部のマッサージ
    頭部を包み込むように左右の手指の腹を頭頂部に軽く当てる。指の腹で軽く圧をかけたまま5秒間前後に動かす。さらに5秒間、円を描くように動かす。
    少しずつ指をずらしながら、頭頂部全体をマッサージする。
    1.頭頂部のマッサージ
  • 2.耳の後ろと後頭部のマッサージ
    頭頂部から、指の腹の位置を少しずつ耳の後ろから後頭部へとずらしながら、1ヵ所につき5~10秒間ずつ円を描くように動かす。
    2.耳の後ろと後頭部のマッサージ
  • 3.側頭部のマッサージ
    後頭部から、指の位置を少しずつ上にずらしながら、円を描くマッサージを1ヵ所につき5~10秒間行う。
    3.側頭部のマッサージ
マッサージ2:疲れやストレスを感じたときにリラックスする

ストレスを自覚している、疲れがたまっている、歯ぎしりや食いしばりの癖がある、といった人に特におすすめのマッサージです。側頭筋にやさしく圧をかけることでリラックス効果が高まります。

左右の手のひらで側頭部を軽く挟み、そのまま上のほうへ引き上げるように動かして3秒間キープする。一旦手を緩めた後、再度上に引き上げて3秒間キープする。計3回行う。

マッサージ2:疲れやストレスを感じたときにリラックスする
マッサージ3:ひどいコリをスムーズにほぐす

頭皮のコリがひどく、頭痛が度々起こる場合、指の腹で頭皮を押すマッサージを行うと痛みや不快感によって緊張状態が続いてしまう可能性があります。このような場合、指の腹よりも、手のひらの柔らかい部分を使ったほうが頭皮へのあたりがソフトに感じられるので、コリがひどい人はこの方法から試すのがおすすめです。

  • 1.眉毛の上に、左右の手のひらの手首寄りにあるふくらんだ部分(下右図参照)を当てる。
    そのまま10回、円を描くように軽くマッサージする。
    目を閉じて行うと、マッサージする部分に意識が集中し、心地良さや痛みの有無などを自覚しやすくなる。
    マッサージ3:ひどいコリをスムーズにほぐす 1
  • 2.こめかみ→耳の後ろ側→後頭部と首の付け根のくぼみ、と手の位置をずらしながら、それぞれ10回ずつ円を描くようにマッサージする。
    マッサージ3:ひどいコリをスムーズにほぐす 2

頭皮マッサージによって心地良さを感じると、自律神経の副交感神経が優位になり、リラックス効果を得られます。硬くなった筋肉がほぐれやすくなるため、肩こりが和らいだり、筋肉の緊張からくる頭痛を防いだりする効果が期待できます。夜の入浴時や就寝前に行えば、深い眠りに入りやすくなるなど快眠につながるというメリットもあります。
また、皮膚の血流が促進されるため、顔の血色が良くなるという効果もあります。ぜひ習慣にして、心身を快適な状態に保つことに役立てましょう。

檜垣 暁子 あきカイロプラクティック治療室 副院長

2000年ロイヤルメルボルン工科大学(日本校5年制)にて応用理学士取得。02年カイロプラクティック理学士取得。03年横浜市にあきカイロプラクティック治療室を開院。04年アクティベータメソッド上級認定資格取得(米国)。06年~07年心身条件反射療法 モジュール1・2認定資格取得。日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員。

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