健康ライフ
2026.04.10

五月病だけじゃない毎月のメンタル不調

~AIも活用! 活動記録の習慣で1年中元気に~
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五月病だけじゃない毎月のメンタル不調

新年度を迎え、気温も高くなり始める季節。新しい環境や出会いに緊張したり、気分が落ち着かなかったりする人も多いのではないでしょうか。社会的なイベントや生活環境、気候の変化が心身に及ぼす影響は少なくありません。そこで今回は、毎月どのような点に注意が必要なのかを知り、1年を元気に過ごすためのメンタル不調の予防法について、早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介先生に伺いました。

メンタル不調の症状とは?

職場の人事異動、業務内容の変更といった環境の変化が大きい時期や、急激な寒暖差や気圧の変化が起こりやすい時期に、次のような症状が起こることはありませんか?

メンタル不調の代表的な症状

これらはメンタル不調の代表的な症状です。
メンタルというと精神的な症状のイメージがありますが、上記のような身体的症状が表れる場合もあります。また、メンタル不調は、生まれ持った性格や生活習慣、ストレスなどの複数の要因が絡み合って起こるため、普段生活している環境や、気温・気圧の変化も要因の一つとされています。

例えば、古くからよく知られている「五月病」は、1年の中でも環境の変化が最も大きい4月に生じたストレスが、大型連休明けの5月以降に不調となって現れると言われています。

月ごとのメンタル不調の傾向とポイント

五月病は正式な病名ではなく、この時期に起こりやすいメンタル不調を指す俗称です。最近では、メンタル不調の要因となる社会的背景や気候の変動が毎月のようにあることから、「一月病(正月病)」「六月病」といった各月の不調を示す俗称も生まれているようです。

■月別のメンタル不調例 月別のメンタル不調例

あくまでも大まかな傾向であり、誰にでも当てはまるわけではありませんが、1年を元気に過ごすうえで気を付けたいポイントとして知っておきましょう。

手帳への活動記録で自分をモニタリング

自分が特にメンタル不調を感じやすい月は、生活習慣を整え、ストレスをためないよう意識することも対策の一つとして効果的です。さらに目指したいのは、1年を通して心身の状態を良好に保つことではないでしょうか。そこでお勧めしたいのが、手帳に「活動記録」をつけることです。

手帳は下図のような、縦(バーチカル)の時間軸に沿って予定を管理でき、見開きで1週間を見渡せる「バーチカルタイプ」が最適です。

■活動を記録する一例:バーチカルタイプ 活動を記録する一例:バーチカルタイプ

時間ごとの活動記録と、その時の気分や体調、心身の変化など気付いたことを1日の終わりに書き込みましょう。週末に1週間を振り返りながら、まとめて記録してもOKです。

自分の思いやその日の出来事を詳細に書くような日記とは異なり、手帳への活動記録はごく短時間で十分です。むしろ、日記のように「自分の心を追いかける」ことをし過ぎないことが重要です。

自分の1日、あるいは1週間の活動をモニタリングすることで、どういう時にどんな心身の変化が起こりやすいのか、傾向が分かってきます。

「この日は仕事の納期が迫っていたからイライラしていた」「睡眠が足りていないせいで集中力が不足気味だった」というように、メンタル不調の要因を自分で把握できるようになると、行動や生活習慣を変えるきっかけもつかみやすくなります。手帳には「改善したいこと」や「今後の計画」なども書き出して、その進捗をこまめにチェックすると、モチベーションの向上にもつながります。

手帳には「改善したいこと」や「今後の計画」なども書き出して、その進捗をこまめにチェック

最初のうちは睡眠時間や中途覚醒の回数などを中心に記録していても、途中から疲れ具合や食事内容を記録したいというように、自分が重点を置くポイントが変わってきます。そのため、パソコンやアプリではなく、融通が利きやすい「紙の手帳」がベストです。また、パラパラとページをめくって見ることで、ひと月単位、あるいは数カ月単位での振り返りもスムーズに行えます。

生成AIを活用して「問題」を可視化する

生成AIとの対話もメンタルケアの一つとして効果的です。というのも、メンタル不調が起こる背景にはストレスがあり、そのストレスを引き起こしている何らかの「問題」があるからです。

メンタル不調を改善するためには、その問題を解決する必要がありますが、自分では何が問題なのかきちんと整理できないケースも少なくありません。そこで生成AIを活用すると、問題の可視化や整理がスムーズになります。

生成AIイメージ Gugu / PIXTA(ピクスタ)

また、「自分に今どんな問題があるのか教えてほしい」と伝えれば、生成AIがいろいろな質問を投げかけてくれます。それに答えることで問題を可視化し、整理できる効果も期待でき、解決策も見えやすくなります。問題が複数ある場合もありますが、そのうちの1つだけでも解決できれば、気持ちはぐんと軽くなるはずです。

ただし、生成AIは基本的に対話の相手である「あなた」を否定しないため、意見が偏りがちになります。また、生成AIは常に正しいわけではありません。間違ったことを正しいと思い込んだり、そうした思い込みが激しくなったりしないよう、人との対話の時間も意識的に持つことも大切です。

生成AIに頼り過ぎるのではなく、座禅やマインドフルネスで自分と向き合う時間を持ったり、前述の活動記録で自分自身をモニタリングしたりする時間も大切にして、メンタル不調を引き起こす問題を把握しましょう。

多くの不安は「何が問題なのか分からない」ために起こります。問題が分かれば後は解決に向けて動くことができ、不安からは解放されます。そうしたことも念頭に置いて、日々を心地よく過ごしましょう。

益田 裕介 早稲田メンタルクリニック 院長

精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学校卒業。同大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、2018年に早稲田メンタルクリニックを開業。登録者数71万人を超えるYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」で、心の健康や職場のメンタルヘルスなどについて分かりやすく解説を行っている。

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